何のために塾はあるのか?
学生時代、アルバイトで塾講師をしていたとき、次のような出来事があったと聞いたことがある。
大手予備校で、ある年から合格実績が大きく減少してしまい、「何が起こっているんだ!?」と調査をしたところ、どうやら学校が予備校の真似をして、問題演習の量を大幅に増やしたことがわかった。しかし、学校の授業時間は変わっていないため、その時間をどうやって確保したのか?
答は、「基本を説明する時間を大幅に減らし、その時間を問題演習の時間にしていた」そうである。
そうした事実が判明したため、その予備校は逆に問題演習の授業を減らし、基本事項の理解を中心とした講座を増やすという対応をとったそうだ。
その結果、合格実績は元通りに戻ったそうである。
もう1つ、これは自分の経験したことだが、十和田の大手個別指導塾に勤めていた頃、高校理科のうち物理をやってくれという依頼が非常に多かったのだが、ある年を境に物理の依頼が大幅に減り、逆に化学の依頼が殺到するようになった。
生徒に聞いてみたところ、新しく来た学校の物理の先生がとてもいい授業・カリキュラムを組んでくれていて、一方で化学は前にいた先生より新しく来た先生が全然ダメなんだということだった。
こうした話から塾の役割というものが見えてくるだろう。あくまで塾・予備校の役割というのは「学校教育の補完と代行」である。
学校の足りない部分を補うのが、我々の役目ということ。だから、学校の先生が生徒を塾に行かせたくないならば、生徒に「塾に行くな」と言うのではなく、自分たちの教務体制を見直すのが1番ではないかと思う。
そうすれば、自然と塾に通う生徒は減っていくだろう。