塾・予備校の授業料はなぜ高い?~塾業界の裏事情~

2021.04.07 ブログ

今までお子さんを塾に通わせたことのない親御さんが、塾の授業料に対して、

「こんなに高いの!?」

と驚いている姿をよく目にします。確かに、塾の授業料は高いです。

 

通常の習い事なら、授業料は高くても1万円以内で済むことがほとんどですが、塾となると(科目数や形態によりますが)

大体月に2万~4万程度になるのが当たり前です。この値段の差はどこから来るのでしょうか?

 

最初に断っておきますが、これくらい高い値段でも、

年間の利益率は5%程度になっているところがほとんどなのです(2019-2020年の教育業界の平均利益率は4.2%)。

興味のある方は「業界別 利益率」で調べてみていただければと思います。

 

つまり、これだけ高くても「大して儲からない」のが塾・予備校業界なわけです。この仕組みについて今日は説明しようと思います。

 

①塾は、1年間(12か月)のうち、大体4か月~5か月が「赤字」である。

 

1年間のうち、塾の生徒数が一番多いのはもちろん1月~3月の受験シーズンです。そしてこのときの生徒数を想定して先生の数が決まっていくのですが、受験シーズンが終わる3月後半や4月になると、高3・中3をはじめとする受験学年の生徒が一気に抜けることになります。

 

しかし、先生の数が同じように減るわけではありません。そうすると、生徒数に対して先生の数が過剰になり、3月になると「一気に赤字に転落」してしまうのです。時間が経ちある程度生徒が集まるまでは、ずっと赤字になってしまうわけです。大体、3月から夏期講習のある7月までこの赤字は続いていきます。

 

当然、年間を通して黒字にしないと倒産してしまうので、この赤字の分を年度の後半で打ち消し、合計で黒字としないといけません。この赤字解消の分が通常の習い事の授業料に加わるのです。これが高い授業料にせざるを得ない一番の理由です。

 

②塾は毎年「集客」をしなければならない

 

①とも関連しますが、塾は基本的に(浪人生も少々おりますが)高校生以下が対象です。すると、どんなにいい塾でも受験が終わったあとはもう顧客にはなり得ません。そのために、毎年常に新規の顧客を集めないといけないわけです。そのためには宣伝が必要なのですが、この宣伝費が馬鹿になりません。新聞の折り込みにチラシを入れるのに、(規模によりますが)1回で大体40万程度もかかってしまいます。しかも、1回だけでなく春・夏にそれぞれ2・3回行わないといけないので、それだけで数百万のコストが発生します。これが年度前半の赤字に乗るわけです。

これも塾業界独特の悩みで、飲食店などでは味が良くて気に入ってもらえれば(味が落ちない限り)もうその人が死ぬまで顧客となり得ます。そうすると、ある程度そういう顧客を作れればもう宣伝などはあまり必要なく、あとは口コミだけで十分になりますが、教育業界ではそうはいかないのです。

 

こういうわけで、塾の授業料は「通常の習い事の費用数千円+赤字を埋める分+広告費」となり、最低でも2万、3万とせざるを得ないのです。決して足元を見たり、儲け第一という考えで高くしているわけではないということをご理解いただきたいと思います。

もちろん、もっと運営の効率を上げ、少しでも授業料が安くなるようにできればよいのですが、力不足で申し訳なく思っております。少しでも保護者様の負担が減るよう、日々努力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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