大学入試共通テスト:「平均点」は変わらず。しかし、「分布」が大きく変化!
さて、センター試験からどう変わるかが注目されていた共通テストだが、蓋を開けてみれば
平均点は昨年並みで、一見何も変わっていないように見える。しかし、(特に理系の受験生にとって)
無視できない現象が起きているので、今日はそのことについて説明しよう。
まず最初に、以下の分布の変化を見てもらいたい(大手予備校の河合塾がHPで公表しているものである)。
点線が昨年のセンター試験の分布で、実線が今年の分布である。変化が顕著な理系の分布を
見ると、450点あたり(得点率50%)で点線と実線が交差し、720点あたり(得点率80%)
で再び交差しているのがわかるだろう。
そして、その間では実線が点線を大きく上回り、逆にその外側では点線が実線を上回っている。
さて、これが何を意味するか?
簡単に言うと、「上位と下位が減り、その分中間層が大幅に増えた」ということである。
(数学ⅠAデータの分析の言葉を使えば、分散と標準偏差が小さくなったということ)
特に、下位層の減少が上位層の減少以上に大きく、これが平均点の低下を防いだと思われる。
ちなみに、文系の分布はほぼ変わっていないように見えるが、こちらでも同じような変化が(理系ほどはっきりとは出ていないが)
起きているそうだ(河合塾HP「共通テスト特集」より)。
もっと簡単に言うと、「共通テストは、センター試験に比べて差がつかない試験だった」ということである。
点数によって差をつけるのが試験の目的のはずなので、「この改革は失敗だったのでは?」というのが
個人的な考えであるが、それはさておき、これが2次試験に与える影響は確実にあるだろう。
「共通テストで差がつかなかった分、二次試験がより重要になった」ということである。
昨年までより(特に理系で)二次での逆転が起きやすくなっているので、失敗した人は諦めず、
成功した人も油断せず、二次試験に向かって勉強を進めるべきだろう。
以上!