数学・物理・化学・生物・地学・・・一番就職に強いのは?
大学で勉強した内容を活かした職業につきたいと考えている人は多いと思う。そういう意味では医師・薬剤師など国家資格が取れる学部が一番なのだが、ここではそれ以外について考えよう。
理工系学部や農学系学部を卒業して、大学院まで進学し専門科目を活かして社会で働くとなった場合、一番門戸が広いのはどの教科かというのがタイトルの問いなのだが、どれだと思う?
理系の花形といえば数学・物理を一番に浮かべる人が多いと思うが、意外なことに一番就職に強いのは、ダントツで『化学』である。不等式で表すと、
化学>>数学≒物理>>生物≒地学
という感じである。数学と物理では少しだけ数学の方が強く、生物と地学では生物の方が少しだけ強い。
化学はある意味で「終わった学問」と言われている。これはもちろん「将来性がない」という意味ではなく、「基礎理論の発見がほとんど終わっている」という意味である。だから、化学を研究するとなった場合、そのほとんどが基礎ではなく応用研究、つまり産業に繋がる実用性を持った(簡単に言えば「金になる」ということ)内容を研究することになる。
そのため、本来は基礎研究が目的のはずの理学部でさえ、化学の研究となったら工学部のように実用性の高い研究を行っている。つまり、大学(院)で学んだ内容がそのまま会社に入ってからも使えるわけだ。
さらに、化学という学問はとにかく需要が非常に高い。料理・洗剤・化粧品・薬品など、日常生活で使う商品にはほぼすべてに化学が関わっている。
その一方で、化学が好きという学生は少ない。化学はある意味「中途半端」だからだ。数学・物理のように数式を立てて計算することが中心ではないし、生物のように知識を覚えていくことが中心でもない。両方を同じくらい必要とするため、数学・物理が大好きな「バリバリの理系」からも、考えるより暗記する方が得意な「文系よりの理系」からも敬遠されてしまう。需要にたいし、供給が一番少ない教科が化学なのである。
ちなみに数学・物理はというと、「そこそこ」である。金融・保険関係の業界にはクオンツやアクチュアリーという数学専門職があり、自分もかつてはクオンツとしてメガバンクで働いていたことがある。大学の同期でも大学に残って研究する人を除けば、大抵はこのどちらかの職についていたし、就職活動で苦労したという話は聞いたことがない(今はどうかわからないが)。
生物・地学は・・・残念ながら学んだ内容を活かした職に就くには、大学に残って研究職(いわゆる「アカデミック・ポスト」)を目指すしかない。そしてそれはこの上なく狭き門だ、とだけ言っておく。
将来の進路を考える際、参考になれば幸いである。
以上!
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