三本木高から京都大学工学部(情報)に合格した生徒~東大・京大合格に必要なもの~
少し古い話になるが、自分がこの生徒を担当したのは2012年、県内初の公立中高一貫教育を掲げ、2006年に中学入試を勝ち抜いた三本木附属中の1期生が高校を卒業した年である。
この年は豊作で、この生徒の他にも東工大・東北大医学部という最難関レベルに現役で合格者を出している(二人とも自分が担当していた生徒だったので、彼らについても後日書こうと思う)。
この生徒を語る上で欠かせないのが「国語」である。理系ではあったが、国語が本当によくできる生徒だった。どれくらい得意だったかというと、東大模試(元々は東大志望だった)で他の教科はすべて偏差値50程度だったのに、国語だけ偏差値80を超えるというずば抜けた成績を残していた。東大受験生の中でも上位0.1%に入るほどの国語力だったのである。
この成績が表すように、彼は頭の回転が速いタイプではなかった。頭の回転の速さに手のスピードが追い付かず、汚い字を猛スピードで書きなぐっていくというのでなく、細部まで丁寧に気を配り、じっくりときれいな字を書くという感じだった。
詳しい人ならもうわかるだろうが、処理能力が重要な東大型の問題とは相性が非常に悪く、じっくり深く考えることが重要な京大型の方が向いている生徒だったのである。
センター試験本番では合計85~86%程度で、この年は(特に国語が)かなり難しかったことを考えると決して悪くはない結果ではあったが東大のボーダーには届かず、別の大学に出願することにした。本人は最初東工大を考えていたみたいだが、国語を活かさない手はないと考えていた自分は、迷わず京大を勧めた。
本人に過去問を解かせたら、「すごくやりやすい」という答えが返ってきた。どうやら相性の良さを実感できたようで、そのまま京大に志望変更、本番でもそれを十分発揮し、見事合格を勝ち取ったのである。
さて、この生徒の特徴についてもう一つ述べておきたいことがある。それは「苦手科目がない」ということ。国語が得意な生徒は数学など理系科目が苦手な傾向にあるが、この生徒はそんなことは全くなく、(国語ほどではないが)英数物化どれもそれなりの成績を取っていた。この「穴がない」ということが、東大・京大合格には必要なのである。
かなり古いが、次の興味深い事実を見てみよう。自分が受験生のときのものなので今では多少変わっているかもしれない。
東大京大「理系」合格者の「国語」の偏差値VS一橋大合格者の国語の偏差値
東大京大「文系」合格者の「数学」の偏差値VS東工大合格者の数学の偏差値
を比較したらどっちが上なのか?を比較したものだ。これは当時河合塾が分析して公開していたもので、なかなか面白かったので今でも覚えている。
理系のトップ層の国語VS文系3番手の国語
文系のトップ層の数学VS理系3番手の数学
といったところだろう。
結果はなんと、
東大京大「理系」合格者の「国語」の偏差値 > 一橋大合格者の国語の偏差値
東大京大「文系」合格者の「数学」の偏差値 > 東工大合格者の数学の偏差値
というものだったのである!つまり、
理系であっても(英数理ができることに加え)ほとんどの文系の生徒より国語ができる
文系であっても(英国社ができることに加え)ほとんどの理系の生徒より数学ができる
そうならないとこの二つの大学に合格するのは難しいということ。「苦手がないこと」が何よりも大切なのである。
以上!
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